1. 導入:静かな気持ちで数字を待ちたい
12月10日に「AIエッジサーバ開発」関連のニュースが出て株価が動きましたが、投資家としては一歩引いて、本業の数字を冷静に見極めたいと思っています。
来週月曜日(12月15日予定)の第3四半期決算を前に、私の復習帳なってしまいますが注目しているポイントと、心に留めている懸念点を整理します。

yahoo!ファイナンスより引用
8月4日のTOB不成立後、一度上げるもその後は株価は右肩下がり
2. 指標:実質PERは10倍の割安水準
まずは現在の立ち位置(バリュエーション)の確認です。
- PER: 11.6倍
- NOPAT PER(実質PER): 約10倍
- 配当利回り: 1.76%(標準的)
指標的には、成長性を考慮すれば割安な水準に放置されていると判断しています。
3. 【期待】事業の「積み上げ」状況
アセンテックの成長を支える2つの柱について、現状と期待を整理しました。
① シトリックス事業の継承と売上拡大
- 現状: 日本国内のシトリックス(Citrix)製品のディストリビューター事業を引き継いだ影響で、第2四半期時点で売上高は前年比+88.4%と激増しています。
- 懸念点(為替リスク): 海外製品のため「回収は円、支払いはドル」になります。引き合い段階で為替ヘッジを行っていますが、昨今のように為替が激しく動くとヘッジしきれないリスクがあります。 特に「円安」に進むと支払いが不利になる構造は要注意です。
② 自社製品の底堅い需要
売上規模はシトリックスが大きいですが、利益率の鍵を握る(稼ぎ頭となる)のは自社製品です。
- Resalio Lynx(レサリオ・リンクス): USBを挿すだけでシンクライアント化できる手軽さがウリですが、最近は「セキュリティ製品」としての側面でも注目されています。
- リモートPCアレイ: 自治体システム強靭化(LGWAN分離など)の流れの中で、導入数が拡大しているかどうかが焦点です。 私が追っているデータでは、着実な積み上げが確認できています。
【自治体導入数の推移(25年期末 → 26年2Q)】
- 導入済み: 45 → 55自治体
- 検討中: 290 → 323自治体
この「検討中」の多さは、今後の自治体への横展開の採用への期待を高める数字です。
4. 2Q決算の振り返りと「数字の罠」
来週の3Q決算を見る前に、前回の2Q決算の「中身」を正しく理解しておく必要があります。 表面上の数字は上方修正で良かったのですが、中身には特殊要因がありました。
【2Q累計の実績(修正後)】
- 売上高: 170億円(据え置き)
- 営業利益: 22億円(+27.2%修正)
- EPS: 114.05円(+37%修正)
- 増配: 23円(3円増配)
【注意点:2Q単体では「経常赤字」だった理由】 実は2Q単体(5-7月)だけを見ると経常赤字に転落していました。 この主因は**「為替差損」**です。
- 1Q: 為替差益 +5.4億円(これで1Qが良すぎた)
- 2Q: 為替差損 -5.19億円(これで2Qが悪く見えた)
営業利益ベースでは稼げていますが、経常利益が為替に振り回されている点は理解しておく必要があります。
【受注の鈍化懸念】 受注高KPIの推移も気になるところです。
- 1Q受注: 7.3億円
- 2Q受注: 4.9億円
上期に仮想デスクトップの大型案件があった反動や、シトリックス(CXJ)の純額処理(会計上の変更)の影響も考えられますが、下期に向けて失速していないか、3Qの数字で確認が必要です。
5. 【懸念】TOB不成立と「1,680円」の意味
業績は良いのですが、投資家としてどうしても引っかかっている点があります。 2025年6月に発表された、オリックスグループによる 「TOB(公開買付け)」 の一件です 。
- TOB価格:1,680円
- 当時の株価(1,452円)に対して約15.7%のプレミアムでした 。
- 不可解な点: 会社側(取締役会)は賛同し 、筆頭株主である創業者の永森氏や大株主のCSGも応募契約を締結していました 。 それにもかかわらず、TOBは不成立に終わりました。
【ペクルの視点】 現在の株価はTOB価格を大きく下回る水準で推移しており、チャートはずるずると右肩下がりです。 TOBを担当したオリックスの担当者はもう少し上の価格の1850円とかでTOBしていればもしくは途中で価格を上げれば成功していたと思いますがなぜやらなかったか疑問ですね
「なぜ破談になったのか?」という不透明さはリスク要因ですが、「本源的価値はもっと高いはずだ」という期待を持ちつつ、まずは来週の決算で本業の進捗を確認したいと思います。
6. まとめ
表面的なAIニュースや株価の動きに一喜一憂せず、以下のファンダメンタルズを確認する予定です。
- シトリックス事業の収益性(為替に負けていないか)
- 自社製品の成長(自治体数は増えているか)
指標は割安なので、底値は限られているかと信じています。
【免責事項】 ※本記事は特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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