星街すいせいの事務所独立というニュースや地合いの悪さもあり、Vtuber事務所を運営するカバー(5253)の株価が大きく下がっています。ただ、私自身は現在カバー株は保有ゼロですが、個人的にカバーという銘柄には、特別な思い入れがあります。 2023年、私がたまたま少しだけ資金を集中させることができ、2,200万円だった資産を2,700万円まで運良く引っ張り上げてくれた株だからです。
今回は少し過去を振り返り、当時どのようにこの銘柄を買い、そしてなぜ手放したのかを、自分の備忘録として残しておこうと思います。
1. 初めてのIPO銘柄挑戦と、目論見書での気づき
カバーとの出会いは、同社のIPO(新規上場)の時でした。 実はIPO銘柄を買うのは初めてで、よくIPOをやっている友人に「どうやって調べればいいの?」と聞いたところ、「とにかく目論見書を読むんだよ」と初歩的なアドバイスをもらいました。 当時、競合である「にじさんじ」のVtuberさんはあまり存じ上げなかったのですが、少しだけサブカル好きな私は、「ホロライブ」の兎田ぺこらさんなどの名前は聞いたことがありました。
言われた通りに目論見書と睨めっこし第一印象は業績自体は利益率はそんなに高くないし「ぼちぼちかな?」という印象でした。ただ、ひとつだけ驚いたデータがありました。 「Vtuberの登録者数トップ10のうち、なんと8人がホロライブ」でした。 「これは素直にすごいかもしれない」と思い、IPOから3日後の権利落ちのタイミングで、まずは100株だけお試しで買ってみることにしました。
2. 「推し活」の熱量が、Excel分析に繋がった日々
転機になったのは、4月末に出た上方修正です。 目論見書の数字のままでは「少し割高かな」と思っていたのですが、この上方修正の数字を当てはめると、一気に割安に見えてきました。
そこからは少し熱くなってしまい、1日100株ペースで買い増しを始めました。資金が足りなくなれば、ずっと含み損だった株や、全然動かない銘柄を売却して資金を作り、気づけば約2000株までポジションが膨らんでいました。 前回の記事で「ひとつの銘柄に大きくロット(資金)を入れられない」とボヤいていましたが、この時は自分でも珍しく、思い切った集中投資ができていました。
なぜそこまで買えたのか、IPOで調べ始めた際にコンテンツを実際に視聴してみたら、案外楽しくて私自身がホロライブの配信を、純粋にコンテンツとして楽しんでいたからです。 当時のホロライブは本当にすごい勢いで、配信の同時接続数(同接)が10万人を超えることも珍しくありませんでした。その熱気を毎日肌で感じていたので、「イベント会場のキャパシティーと入場料から売上を予測してみよう」「セグメント別の利益率をExcelで3パターンくらい計算してみよう」と、楽しく泥臭い分析ができていた時期でした。
3. 熱狂のピークと、少し切ない撤退ルール
その後、運良く株価が上昇してくれたので、6月に半分ほどを利益確定。秋頃に再上昇したタイミングで500株を買い増し、また少しずつ売るなど、たまたま相場の波とうまく噛み合ってくれました。 私の中での熱量としては、2024年9月の「ホロGTA」という大型企画の頃がピークだったように思います。
出来高は2023年から2024年までは東証全体の出来高ライキングで20位以内にランクインすることが頻繁にありグロース市場では8割出来高ランキング1位の注目銘柄でした
しかし、2024年夏頃から空気が少しずつ変わっていきます。 人気メンバーである湊あくあの卒業発表、さらに下請法違反のニュースなどがあり、明らかに会社の「勢い」に少しずつ陰りが見え始めました。秋に上方修正で一度は反発したものの、その後の第3四半期決算では「上方修正を出したのにストップ安」という、株式市場の厳しさを味わうことになります。
そして、それに続くように起きた「卒業ラッシュ」。 ファンにとって、推しの卒業は本当にショックな出来事です。それが立て続けに起こると、「これ以上ショックを受けたくないから、もう見るのをお休みしようかな……」という寂しい気持ちになってしまいます(私自身がまさにそうでした)。
そして「誰かが卒業する情報が出たらを100株ずつ売ってました」
手元に残っていた最後の1000株は、卒業していくVtuberさんたちを見送るような気持ちで少しずつ市場で売却し、すべて手放しました。それと同時に、私自身のホロライブの視聴回数も自然と減っていきました。
がうるぐら卒業の時は多めに売却、天音かなた卒業で完全売却でした
卒業発表を矢印でざっくりとチャートに合わせてみました。(矢印の色は卒業者のイメージカラー)

yahoo!ファイナンスよりチャートを抜粋
4. IPビジネスの難しさと、運良く学べたこと
投資の視点で見ると、タレントの卒業は会社にとって大きな痛手です。 IP(知的財産)が使えなくなるだけでなく、グッズで収益を上げている以上、残ったグッズは不良在庫になってしまいます。活動頻度を減らしてでも在籍してもらえればIPは活かせるはずなのに、社員を増やしても「忙しい」という声がタレントさんから漏れてくるあたり、マネジメントの難しさがあるのかもしれません。
私がこのカバー株への投資で運良く学べたのは、以下の3つです。
- 「怖いけれど、思い切ってロットを入れるとパフォーマンスは大きく変わる」
- 「自分の肌感覚や『好き』が活かせる分野は、分析が苦にならない」
- 「現場の熱量に陰りを感じたら、執着せずにそっと身を引くこと」
カバー株は私に大きな利益をもたらしてくれましたが、今回は「相場が良かったこと」と「自分の趣味がたまたま合致したこと」が重なっただけの、幸運な結果だと思っています。熱狂が終わった株にいつまでも居座れるほど、自分の腕が良いわけではありません。
こういう楽しく分析出来て、サービスや製品に熱中できる銘柄を見つけられるといいですよね。
【免責事項(注意書き)】 ※本記事は、一介のサラリーマン投資家である筆者の過去の投資回顧録であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 ※個人的な推測や当時の分析が含まれており、企業の公式な見解や現在の業績を保証するものではありません。 ※投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。本記事の内容を参考にして被ったいかなる損失についても、筆者は一切の責任を負いかねます。
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