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【銘柄分析】5年で株価5倍になったイスラエルの防衛企業「エルビット・システムズ(ESLT)」

はじめに:防衛企業の現状

ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、世界中で防衛産業への注目が集まりました。

しかし、ジェネラル・ダイナミクス(GD)やロッキード・マーチン(LMT)といった米国の「重厚長大」な企業の株価は、堅調ではあるものの、爆発的には伸びていません。

一方で、ドイツ(ラインメタル)、韓国(ハンファエアロスペース)、そして今回取り上げるイスラエルの企業は、株価が何倍にもなっています。

昨今、アメリカとイスラエルがイランを攻撃し、3月2日も防衛関連株は上昇していました。

私のポートフォリオには、GDやLMTといった米国の王道銘柄もありますが、その中でも群を抜いてパフォーマンスが良いのが、そのイラン攻撃にも参加したイスラエルの防衛企業エルビット・システムズ (ESLT) です。

  • 含み益:+416%(資産4倍以上)
  • 株価:購入時$148 → 現在$845(約5.7倍)(2026年3月2日現在)

1. ナゴルノ=カラバフ紛争で見た「歩兵の無力さ」

投資のきっかけは、2020年の**「ナゴルノ=カラバフ紛争」**(アゼルバイジャン対アルメニア)でした。

当時の映像で衝撃を受けたのは、「生身の歩兵」が、ドローンによって一方的に駆逐されている光景です。 空からの「目」に見つかれば、隠れる場所もなく、反撃する術もないまま、精密誘導兵器で狙われる。それは戦争というより、一方的な「狩り」でした。

「今後の地上戦は、空からの監視(ドローン)と、それを防ぐ盾(アンチドローン)を持たない軍隊は、ただの『的』になる」 そう確信して、ドローン兵器について本格的に調べ始めました。 (※その後、ドローン戦に敗れたアルツァフ共和国は2024年1月1日に消滅しています)

2. なぜ「エルビット・システムズ」だったのか

当時、ドローンベンチャーは数多くありましたが、私がエルビットを選んだ理由は明確です。

  1. 「システム屋」であること: 単に機体を作るだけでなく、C4I(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報)システム全体を構築できる技術力がある。
  2. 「アンチドローン」技術がある: ドローンが脅威になれば、必ず「守る技術」が買われる。
  3. 「利益」を出している: 赤字の期待先行型ではなく、すでに各国の軍隊に納入実績があり、黒字化している「本業」の企業だった。
  4. 地政学的な販売先の選別: ロシアや中国の息のかかった国には販売をしていないこと。
  5. グローバルな収益基盤: アメリカへの売上が3割を占めており、イスラエル国内一辺倒ではなく世界で販売ができていること。
  6. 堅実なベース収益: 戦車や戦闘車両の近代化改修による堅実な売上があること。

ロッキードやジェネラル・ダイナミクスは重厚長大な兵器の王者。小型ドローンのエアロバイロメント(AVAV)は当時赤字企業。 そんな中、エルビットは陸海空の情報システムを細かく取り扱い、既存兵器の近代化改修も行い、さらにアゼルバイジャン軍が活用していた偵察ドローンも手掛けている「堅実な防衛企業」でした。ナスダック市場に上場しており、日本からも購入可能だったのもポイントです。

3. 偵察だけではない「攻撃・防御・システム」の技術

誤解されがちですが、エルビットは当初、今ウクライナで飛び交っているような「FPVドローン(安価な自爆ドローン)」を作っている会社ではありませんでした。 彼らの主力は、中型・大型の偵察用無人機(UAV)です。

① ドローン(UAV)と自爆兵器 代表的な「Hermes(ヘルメス)」シリーズのように、長時間上空を飛び続け、広範囲を監視し、敵の位置情報を味方に送り続ける「指揮官の目」が主力です。 ……と思ったら、最近では「SkyStriker」というミサイルのように高速で飛ぶ自爆ドローン(徘徊型兵器)も手掛けていました。自衛隊も導入を検討しているとされる兵器です。

② 防御システム(アイアンビーム・アイアンフィスト)

  • アイアンビーム(Iron Beam): 有名なレーザー迎撃システム。主契約者はラファエル社ですが、レーザー供給元としてエルビットが関わっています。
  • アイアンフィスト(Iron Fist): 戦車のアクティブ防御システム。ロケット弾が飛んできたら、即座に散弾を発射して撃ち落とす技術です。イスラエル軍内のコンペでは競合(トロフィー)に負けましたが、逆にアメリカ軍での採用が決まっています。

4. 恐怖への対抗策:「ReDrone」

そしてもう一つ、購入の決め手となったのがアンチドローンシステム「ReDrone」です。 数キロ圏内のドローンを周波数で検知・識別し、ジャミング(妨害電波)で無力化するシステムです。2015年にローマ教皇がラテンアメリカを訪問した際、警備で使用され数十機のドローンを撃退した実績があります。 ドローンが脅威になればなるほど、この「見えない盾」の需要は高まります。

まとめ: 結果として、ロシアによるウクライナ侵攻、そしてガザ地区での戦闘などにより、同社の技術への需要は爆発的に高まりました。

エルビットの売上の約3分の1はアメリカ向けであり、イスラエルだけでなく、欧州、アジア、南米など世界中の軍隊が顧客です(中国やロシアへの販売は確認できていません)。世界が不安定化する中で、防衛産業はますます「必要不可欠なインフラ」となっています。

ジェネラル・ダイナミクス、ロッキード・マーチン、そしてエルビット・システムズ。この「防衛3本柱」は、地政学リスクが高まる現代において、私の資産を守り、増やしてくれる最も頼もしいセクターであり続けています。

ただし、この会社のPERは70倍を超えておりかなり割高です。 5年で売上も利益も2倍になりましたが、株価はそれ以上のペースで上がっています。

……と、ここまで偉そうに長々と語ってきましたが。

実は5年前、私の総資産が1千万円ぐらいだった頃の資金力では、この株をたくさん買ってほったらかせるほどの余裕はありませんでした。

なんと現在の私の保有株数は「2株」です。

もともと6株買ったのですが、ロシアのウクライナ侵攻時に株価が跳ね上がり、2株残せば元が取れる恩株化になったため、4株売却して元本を回収し、今に至ります。

額は小さいですが、自分の仮説が実証され、完全にリスクゼロで恩株が成長していくのを見るのは、投資家冥利に尽きるというものです。


【免責事項】

※本記事は筆者個人の投資判断の記録であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 ※筆者は記事内で言及している銘柄(GD, LMT, ESLT)を保有しています。

※本記事は防衛産業の技術的分析を目的としています。

ガザ侵攻等の武力行使を肯定するものではありません。イスラエル軍の強引な攻撃も、民間人を盾や自爆ドローンに利用するガザの支配者層の行為も、人道的見地からは許容されないものと考えています。

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この記事を書いた人

名古屋在住の40代サラリーマン投資家。 雰囲気やニュースに流さそうになりながら、決算書と財務データを読み解く「ファンダメンタルズ分析」を重視しています。投資対象は割安な日本株から米国の宇宙・防衛株まで及ぶ「雑食」スタイルです。 感情に流されず、データと企業分析に基づいた投資を心がけています。

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